韓国科学技術院(KAIST)がシステム生物学の手法を使った研究で、
ガン細胞が正常細胞に戻る分子スイッチが発見しました。
研究チームはまず、細胞内の遺伝子やタンパク質の相互作用をモデル化し
正常細胞がガン細胞に変化する過程を詳細に分析。
ガン細胞の形成に関与する遺伝子ネットワークをモデル化し、
正常細胞とガン細胞が共存する不安定な「臨界転換」状態を特定しました。
次に、単一細胞RNAシーケンシングデータを使用して、
正常細胞とガン細胞の間の遺伝子発現の違いを明らかにしました。
このデータを元に、ガン細胞の遺伝子ネットワークを解析。
正常細胞がガン細胞になる転換過程をシミュレーションし、
分子スイッチを特定するためのコンピュータモデルを構築しました。
続いて、アトラクタランドスケープ分析という手法を用いて、
遺伝子ネットワークの動的変化をシミュレーションしました。
この分析により、正常細胞とガン細胞の状態を表すアトラクタを特定し、
ガン細胞の可逆化に寄与する分子スイッチを発見しました。
具体的には約2万個の遺伝子の中から臨界転移に関する17個の遺伝子を見つけ、
その中の「USP7」(Ubiquitin Specific Peptidase 7)という遺伝子の抑制で、
ガン細胞の正常化ができると判明しました。
最後に、大腸ガン細胞を用いた実験で、
化学抑制剤を使用してUSP7遺伝子を抑制したところ、
ガン細胞を正常細胞に戻せることを確認しました。
ただし、抑制剤の使用を止めると抑制効果はなくなるようです。
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