生成AIは水資源を浪費している

生成AIを動かすと水資源を浪費することになります。
それはデータセンターの冷却に大量の水が必要だから。

生成AIの訓練と実行には膨大な計算能力が必要で、
そのためにサーバーは大量の熱を発生させます。
なので、多くのデータセンターでは冷却効率のよい水冷却システムが採用されています。

Microsoft社の報告によれば、同社のデータセンターは2022年だけで約1300万立方メートルの水を消費しました。
これは、中規模の都市の年間水使用量に匹敵します。
例えば埼玉県久喜市(人口約15万人)、静岡県富士宮市(人口約13万人)、岐阜県多治見市(人口約10万人)が当てはまります。

University of California, Riversideの研究によると、
GPT3のような大規模言語モデルの訓練には、
約70万リットルの水が必要とされています。
これは、一般的な乗用車500台以上の製造に必要な水の量に相当します。
ちなみに、自動車の製造には原材料の鉄鋼の精製や、
金属加工時の冷却や洗浄、工場説部の冷却などに大量の水を利用しています。

皮肉なことに、AIは気候変動対策のツールとして期待される一方で、
その運用自体が気候変動を加速させる要因にもなっています。
水資源の過剰消費は、生態系の破壊や農業生産への悪影響など、
複合的な環境問題を引き起こす可能性があります。

例えばアメリカのAI企業のデータセンターの多くは、
アリゾナ州やテキサス州など、すでに水不足に悩まされている地域に建設されています。
アリゾナ州のデータセンターは、すでに干ばつに苦しむコロラド川流域からさらに水を奪うことになっています。

そこでMicrosoft社やGoogleなどは、より効率的な空冷システムの開発に投資しています。
また、より小さく効率的な生成AIモデルの開発により、
必要な計算リソースと水消費を削減する試みが進んでいます。

Amazonのような企業は、データセンターの冷却に使用した水を処理して再利用するシステムを導入しています。
Amazonの一部の施設では屋上や敷地内の雨水を利用しているそうです。
またWUE(Water Usage Effectiveness)という水使用効率化システムを使っています。
気候に応じて水冷と空冷も併用しているとのこと。
これにより水使用量を従来の20~50%を削減しています。

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

この記事のショートリンク