2025年2月14日、タイ・ミャンマー国境を流れるメーサイ川で、
複数の国籍の被害者260人がタイ当局に保護される作戦が実施されました。
その中に16歳の日本人もいたと判明。
ほか台湾人82人、中国人47人、マレーシア人33人などが保護されています。
背景には中国系犯罪組織の国際ネットワークがあるとのこと。
この日本人は2024年末、オンラインゲーム「原神」を通じて知り合った人物から、
「ゲーム大会のスタッフアルバイト」に誘われ、タイ・バンコクまでの航空券を提供されたとのこと。
現地到着後、少年は車で10時間以上移動させられた末に、ミャンマー東部カヤー州の施設に監禁されました。
施設では30人以上の若者が生活しており、日本人は少年を含め10人前後(男性7人、女性3人)が確認されたとの証言があります。
監視カメラと鉄条網で囲まれた施設内では、
1日12時間以上の労働が強要され、
特殊詐欺の電話勧誘を拒否した者への暴力や食事制限が日常化していたそうです。
事件に関与した犯罪グループは、中国福建省を本拠地とする「忠義社」の下部組織と推定されています。
ミャンマーの犯罪組織の拠点ではカレン民族解放軍(KNLA)の支配地域を利用し、
現地武装勢力への賄賂支払いによって施設の防衛を図っていたようです。
1ヶ月あたり5万ドルの賄賂をKNLA幹部に支払う代わりに、
ミャンマー軍の検問突破を許可されていたことが捜査関係者への取材で明らかになっています。
であれば、ミャンマー軍ぐるみの犯罪だったことになります。
KNLAからミャンマー軍への賄賂もあったはずなので。
これは2021年のミャンマー軍事クーデター後の治安空白地帯を悪用した国際犯罪の典型例とのこと。
この手の犯罪組織の勧誘の手口は一般に以下のような手順を踏むみたいです。
1.ゲーム内での関係構築:
若年層に人気の原神やApex Legendsで、日本語堪能な中国人オペレーターがフレンド申請して、数週間から数ヶ月かけて信頼関係を築く。
2.報酬型アルバイトの提案:
ゲーム大会のスタッフ業務(1日3万円)やeスポーツチームのスカウト(年俸500万円)などの偽案件を提示。
3.渡航費の全額負担:
航空券を送付、現地スタッフによる空港送迎を約束。
4.移動中の所在不明化:
タイ到着後、スマートフォン没収と偽装車両による国境越えを強行。
5.特殊詐欺の強要:
被害者に偽造IDとスクリプトを支給し、日本の金融機関や自治体を装った特殊詐欺を強要。
具体例は、①架空請求メールの送信、②金融機関職員を装った電話詐欺、③仮想通貨投資勧誘の三形態が確認されています。
詐欺収益の87%が仮想通貨(主にUSDT)を通じて洗浄されています。
具体的な流れは、以下の三段階とのこと。
①日本国内のマネーロンダリング業者による現金回収
②タイの暗号通貨取引所での法定通貨変換
③ミャンマー不動産投資への資金投入
犯罪組織は地元経済への投資を通じて地域社会との共生を図っているようです。
ミャワディ地域では、組織が運営するショッピングモール2か所、
ホテル3軒が確認されており、地域雇用の15%を占めています。
この経済的依存関係が、地元住民の黙認姿勢を生んでいるとのこと。
にほんブログ村
Tweet
この記事のショートリンク