カテゴリー: SF

  • マイノリティリポート&追憶売ります

    映画化されたマイノリティ・リポートの原作を読んでみた。

    マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

    原作と映画ではだいぶ筋書きが変わっている。
    原作では、予知が2転する。
    予知をするプリコグが3人いるのは同じ。
    第1予知で自分が殺人を起こすと知ったアンダーソンが、予知を知った結果として殺人しない。
    それが第2予知として、アンダーソンが殺人しない未来が予知される。
    第3予知は、第2予知がマイノリティ・リポートとして報告され、失地回復を図る軍人に見つかり、犯罪予防局の正当性を覆す政治運動に利用された結果として、アンダーソンが殺人を起こすという予知。
    第1予知も第3予知も、アンダーソンが結果的に殺人を起こすという予知でマジョリティ・リポートとして採用されてしまう。
    しかしその経緯が全然違う。
    この食い違いを突き止める話になってる。
    映画は、長官が過去の殺人を隠す為に、トムクルーズ扮するアンダーソンを罠にハメるという展開だった。
    まあ、道具立てを借りたってことなんだろうね。(^_^;)
    原作のほうが知的で面白かった。


    それと、追憶売りますも読了。
    こっちはトータルリコールの原作。
    映画は、火星の大気に酸素を発生させるという壮大な結末。
    原作は、主人公のダグがエイリアンの地球侵略を防いだ人物で、彼が死ぬとエイリアンが地球侵略を再開するとリーコル社の技術者たちが気づいてしまうという結末で、ちょっとしょぼい。
    火星に憧れるダグが、リーコル社に偽の「火星旅行」の記憶を植えつけるように注文するってのは同じ。
    その記憶移植作業で、消去されてたはずの本来の記憶が蘇るのも一緒。
    ただ、ダグが自分の記憶を封じる代わりに火星への憧れが無くなるように別の記憶を注文するって展開になる。
    その記憶がエイリアンの侵略から地球を救ったという記憶で、自分が死ぬと地球侵略が始まるという誇大妄想的な願望を満たすことで火星への憧れを消せると。
    ところが、記憶移植中に再び本来の記憶が蘇ってしまい、実は本当にエイリアンの地球侵略を防いでいたとわかるっていうw
    自分は、コメディっぽい話だと思ったw
    映画と全然違う。

  • たったひとつの冴えたやりかた

    3編の短篇集。
    どれも「自己犠牲」的な物語。


    第1話「たったひとつの冴えたやりかた」が有名で、兄がいる宇宙の辺境へ探検にでかける少女の話。
    前半は「これから女の子の冒険譚が始まる」って雰囲気なのに、異星人と出会った後半からは一変。

    少女は密航者で、その宇宙船には質量制限があって、
    少女の分が重すぎて燃料が足りず、
    かといって積荷は病気の兄の為の血清で、
    積荷を捨てると兄が死んでしまう。
    燃料が足りないままだと速度を落とせずに惑星の重力に引かれて、
    宇宙船は積荷もろとも惑星の大気で燃え尽きてしまう。

    それで少女は自ら宇宙船から出て宇宙空間で死ぬ事を選ぶ。

    少女の決断プロセスが感動というか同情的な目で見てしまう。
    無邪気に兄に会いに行こうとしただけなので……。

    で、少女の犠牲により、兄を含めて惑星の人類が助かる。

    気になったのは、
    「(冷凍睡眠なしでは)あんな長い光年を生き延びられない!」
    と片道だけでも冷凍睡眠が必要なほどの長い飛行後に、
    少女が行方不明扱いとなって辺境の基地へ駆けつけた父親が、
    行方不明となった直後のように怒っている姿。
    娘が行方不明になったことを受け入れる、相応の時間が経ってるんじゃないの?
    または、父親はすでに死んでるとか‥。
    父親が娘の跡を追って、冷凍睡眠飛行してたの?
    そのへんの描写が無いんで、ちょっと意味不明だった。
    そもそも冷凍睡眠が必要なほど時間がかかる宇宙飛行の動機として、子どもの冒険心では弱いし。


    第2話「グッドナイト・スウィートハーツ」は、宇宙遭難救助隊の男が主人公。
    ある遭難艇に燃料を届けたことをきっかけに、長い冷凍睡眠前に恋人だった女と再会。
    これも「自己犠牲」的ではあるけど、主人公は死なない。
    ラストが意味不明だったけど、検索でやっとわかった。
    つまり男は、自由を選んだ、と。
    命がけの行動の直後、急に冷静になって計算高くその後の人生を変えるって展開がびっくり。


    第3話「衝突」は、第1話と同じような異星人とのファーストコンタクトで、
    人類を悪い種族と思い込んでいる超文明種との「衝突」。
    本の半分くらいが第3話で、ちょっと冗長。
    これも「犠牲」により、人類が救われる。
    ただ、犠牲になる人物の描写があまり無いので、感情移入しにくく、感動というほどの読後感は無かった‥。
    第1話は主人公の描写がメインだから、自然に感情移入するのと対照的。

    たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)

  • 星を継ぐもの

    超有名SFのひとつらしい。
    ハードSF巨匠ホーガンのデビュー作だそうで。
    とても引きこまれて、休日に一気に読んだほどに面白かった。
    主人公は科学者で、月面で見つかった5万年前の異星人の死体の謎を解こうと、集められた情報や仮説を取捨選択して、推理する。
    しかしその推理を覆す証拠が見つかり、また推理のやり直し。
    ということが何度か繰り返される。
    最終的には、人類の起源や月の起源への推理にまで及ぶスケールの大きさには驚いた。
    文章の大半は、このような思考プロセスで、SFによくある宇宙冒険譚とかじゃない。
    SF推理小説って感じだった。

    星を継ぐもの (創元SF文庫)