フルトヴェングラーと対立していたトスカニーニは、1952年に録音したスピーディな第九演奏が有名です。
トスカニーニ自身は「楽譜に忠実」に演奏したと主張していたようです。(早過ぎるテンポ指示を守ったこと)
第1楽章冒頭の、弦のトレモロがスタッカートのようにリズミカル。霧や霞を思わせるフルトヴェングラーとは対照的。
第2楽章も早いけど、スケルツォなのでむしろ「らしい」と思います。
第3楽章では歌うように演奏しています。オペラの指揮でキャリアを重ねた人なので当然かと。
第4楽章がとても速いテンポで始まるのも、オペラの終劇みたいな盛り上がりを意識してるんだと思います。
歓喜の歌も速いので、まるで「強制された歓喜」という感じになってますが……。
独唱に過剰にビブラートをかけまくっているのも特徴的。
最後の終わり方は逆に遅めのテンポです。
個人的には一番好きな録音です。
全4幕のオペラ(喜劇)を見ているような感覚がします。
ベートーヴェン : 交響曲第9番 「合唱」&ミサ・ソレムニス
カラヤンはトスカニーニの録音を楽団員に聞かせていたらしいです。
シンフォニーをオペラのように指揮するカラヤンは、トスカニーニからオペラっぽいスタイルを受け継いだんだと思います。

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