アファナシエフ ムソルグスキー展覧会の絵CD

 
クラシックCD評音楽
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個人的にはピアノの展覧会の絵の中で一番好きな演奏です。
遅いというイメージのアファナシエフの展覧会の絵ですが、全体的には言うほど遅くはないです。
アファナシエフは内声をはっきり聞かせるタイプで、この演奏も同様。
グレン・グールドのような点描的にスタッカートを多用し、妙な間を開けて音を明確に区切ったりしてますが、その意味はよくわかりません。
一見、学生が遅いテンポで練習しているかのようにも聞こえます。
ただ、そういう区切り方が正しいように感じます。
何かをイメージさせようとするのではなく、楽曲の構造を際立たせたいのかなという印象です。

1曲目の小人は明らかに遅いです。
最後のトリルはあまり上手くないように感じますが、アファナシエフだと意図的にそうしているかのようにも聞こえてしまいます。
またその後の上昇音型もよく聞くと、ただつなげて弾かずに2つに区切ってるように聞こえます。

2曲目の古城は普通のテンポです。

3曲目のテュイルリーの庭の最初は遅め。
ここも点描的。子どもが遊んでいる様子らしいので、点描的だと小さな子が遊んでいるように聞こえます。

ブイドロも遅いです。
元は「牛車」という意味ですが、ポーランド語で虐げられた人という意味があり、実はポーランドの圧政に苦しむ民衆を描いたらしく、そう考えるとこの曲は重々しい遅いテンポの方が相応しいと思います。
テンポが早いと颯爽とした勇ましい曲に聞こえてしまいます。

卵の殻をつけた雛の踊りは標準的なテンポよりわずかに遅いのですが、点描的。
ただし部分的に妙な間を開けてます。
実際の元絵は人間が殻の着ぐるみを着ているような絵らしいんですけど、本当に小さな卵が踊っているかのように聞こえます。

サミュエルゴールデンベルクとシュミイレも遅めですが、点描的で装飾も綺麗なので金貸しに哀れみを乞うようには聞こえず、激しい雨が降った後の雨だれのように聞こえます。

リモージュの市場は普通のテンポなんですが、点描的。
でも楽譜に全曲に渡ってスタッカートで弾くよう指示があるので、点描的に弾く方が正しいのだと思います。

カタコンベも普通のテンポです。ただしこの曲では妙な間があって、リタルダンドなのか意図的な間なのか区別はつかないです。

バーバ・ヤーガも遅めで点描的で、低音部が重機関車の発車など大きな機械の動作を思わせます。元絵は置物のデザインだそうですが、バーバ・ヤーガ≒魔女が住む家を描いたようには聞こえません。

キエフの大きな門も普通のテンポです。
所々妙な間を開けるのは相変わらず。
このような間は、残念ながら作曲理論は知らないので、私には何か意味ありげな気がするだけです。


ムソルグスキー:展覧会の絵

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