断眠療法は、鬱病患者の睡眠パターンを一時的に乱すことで、
脳の神経伝達物質のバランスを調整し、
体内時計をリセットして、鬱症状を改善させる治療法です。
ただし数日後には元に戻ってしまうとのこと。
ペンシルバニア大学でfMRIの解析を行い、
断眠治療が扁桃体と前帯状皮質との接続を強化していると分かっています。
Staying Up All Night May Actually Relieve Depression in Some People
扁桃体は感情機能をコントロールしています。
鬱病患者は扁桃体の過剰活動が報告されています。
これが鬱病の不安感や絶望感を強めているとされています。
前帯状皮質は感情調整、意思決定、認知的コントロールなどに関与しています
前帯状皮質との接続強化で、扁桃体の過剰活動が抑制されているわけです。
断眠治療には、全断眠と部分断眠があります。
全断眠は、一晩中眠らずに過ごすことで、
翌日の気分が改善することが確認されています。
全断眠は心身に負担となるので、専門医の指導の下で行います。
部分断眠は、以下の3種類があります。
夜間後半部分断眠:通常の就寝時刻に眠り、深夜(午前2時頃)に覚醒させて、以後は眠らせない方法。
夜間前半部分断眠:夜間の前半部分を眠らせない方法。
選択的REM睡眠断眠:脳波を取りながら寝て、REM睡眠と呼ばれる、夢を見ている状態の睡眠のみを選択的に遮断する方法。
部分断眠は心身への負担が少ないとされています。
断眠療法は副作用として、眠気、倦怠感、集中力の低下などが起こることがあります。
薬物療法と併用することで、より効果が期待できる場合があります。
光療法という明るい光を浴びることで体内時計をリセットし、
鬱症状を改善する治療法もあります。

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