幼少期の扁桃腺切除でPTSDや鬱病リスクが43%上昇

 
医学健康

スウェーデンのカロリンスカ研究所や大学病院などの研究者たちによる、
スウェーデンの健康登録データを基にした大規模な観察研究で、
幼少期の扁桃腺切除でPTSDや鬱病リスクが43%上昇すると判明。

この研究では以下のような綿密な調査が実施されました。

研究対象:スウェーデン全土で1973年から1997年の間に出生した約150万人のデータを分析
追跡期間:対象者を平均30年間追跡調査

比較方法:扁桃腺切除を受けた約8万人の患者群
手術を受けていない同年齢層の対照群
性別、社会経済的背景、家族歴などの要因を調整

研究チームは、扁桃腺切除がメンタルヘルスに影響を与える可能性のある以下の要因を指摘しています。

免疫系への影響:

免疫機能の低下
炎症反応の変化
感染症に対する防御機能の減少

ストレス応答システムへの影響:

ストレスホルモンの分泌パターンの変化
ストレスへの対処能力の低下
情動調節機能への影響

免疫系とメンタルヘルスの関連性

免疫系とメンタルヘルスの関連性について、
現在理解されている主なポイントは以下の通りです。

サイトカインと気分の関係:

免疫細胞が放出するサイトカインは、脳内の神経伝達物質の産生や機能に影響を与えます。
特に炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-αなど)の過剰な産生は、うつ病の発症と関連があることがわかっています。
これは「炎症性うつ病」と呼ばれています。

腸-脳軸(Gut-Brain Axis)の役割:

扁桃腺を含む免疫組織は、腸内細菌叢の形成に重要な役割を果たします。
腸内細菌叢は神経伝達物質(セロトニンなど)の産生に関係があります。
腸内環境の変化は、脳の機能や気分に影響を与える可能性があります。

視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)への影響:

免疫系の変化は、ストレス応答を制御するHPA軸の機能に影響を与えます。
これにより、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌パターンが変化する可能性があります。
HPA軸の機能異常は、うつ病やPTSDの発症リスクと関連しています。

神経炎症との関連:

免疫系の変化は、脳内の慢性的な炎症状態(神経炎症)を引き起こす可能性があります。
神経炎症は、うつ病やその他の精神疾患の発症メカニズムの一つとして注目されています。

発達期における影響:

幼少期は免疫系と神経系の両方が発達する重要な時期です。
この時期の免疫系の変化は、神経回路の形成や機能に長期的な負の影響を与える可能性があります。

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