中井英夫っていう、自分は聞いたこと無い作家の小説を読んでみた。
なんでもアンチミステリで有名らしい。
これも長編で600pくらい。
かなり冗長だと思う。
密室で次々に人が死ぬ連続殺人事件と思いきや、
本当の殺人は1件だけで他は偶然だったというオチ。
真犯人が自白するけど、それも本当の話かはわからない。
自分は牟礼田が真犯人かと疑っていたけど、
彼の告白では単に真犯人を自殺させないように、
殺人妄想を抱かせて焚きつけただけだという。
真犯人いわく、最初の紅司は事故死。
2番めの橙次郎が殺人。
3番目の鴻巣と聖母の園の放火、松野家の両親は、最後まで読んでも明かされない。
最後の殺人は未遂。
松野家の父は、縊死ののち絞殺痕をつけたと検死で判明するけど、
鴻巣がやったのか、広吉がやったのかは不明なまま。
鴻巣が服毒自殺したのか、広吉がやったのかも不明なまま。
ただし真犯人の告白によると、真犯人が偶然に隣の部屋を借りていただけだと言う。
老人ホームの聖母の園の放火事件も、ただの偶然?
そのわりには、なぜか死体が一体多いという謎が残ったまま。
途中で登場人物達が自分の推理を披露する場面が何度も出てくるけど、かなり退屈。
推理じゃなくて、自分の想像を話しているだけ。
牟礼田は彼らが、連続殺人事件と見ようとして面白がってることを批判してるけど、
私は推理がずさんなだけで、連続殺人は本当なんだろうと思っていた。
そのうちのひとり「藤木田」は真相に気づいて田舎に逃げ帰ったとされるけど、
どうやって真相に気づいたのかも明かされないまま。
真犯人の自白を信じるなら、父親の死を無駄死にしないために、
父と仲の悪かった伯父を殺すことで父に供えようとしたという理屈は、
ただのノイローゼとしか思えない。
あとがきでは、高尚な動機とか褒めてるけど‥。(逆に高尚すぎるとも)
長いのも加えて、なんか煮え切らない物語だった。
長々と読み進めて、このオチかよ?と。

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