殺人の門

東野圭吾の長編「殺人の門」を読了。
正直、こんな長編の必要があったのかなと。
ただ、人を騙して金を取る悪徳業者の描写が巧みで、最後まで読んでしまった。
いかにもありそうな話で。
自分のように「悪徳業者の描写が面白くて読んだ」みたいな物語以外の興味が無いと、途中で読むのを諦めたくなると思う。

殺人の門 (角川文庫)

主人公は一家離散した元金持ち。
終盤になるまで、主人公の半生を私小説風に描写してずっと続く。
主人公は小学校時代から「友人」に利用されつつも、その弁明を聞いているとなぜか言いくるめられて許してしまう。
主人公は小学校の時分から大人になるまでずっと、自分を騙した友人を殺してやろうと決意しつつも、実行しない。
主人公の優柔不断さで、こいつバカじゃねえの?と思ってしまう。
こんなやつとはきっぱり縁切りすりゃいいだろうに、とか。
まあ、それを言ったら物語にならないけど。
なぜ優柔不断になってしまうかが、物語の肝ではある。
最後の最後で、「友人」がなぜ主人公との関係を持ちたがり、主人公を親友のように思っているようで便宜を図りつつも主人公を不幸に陥れるのか、その動機が判明してやっと主人公は友人を殺す。
しかもそれは、主人公が一家離散したことからすでに始まっていたことも判明する。
最後まで読んでやっと、「友人」の今までの振る舞いの意味が理解できる。
ミステリは色んな意味の「謎」があるけど、殺人の門は「友人の動機」を読者が解くべき謎としている小説だった。
自分は全然わからなかった。
自分は主人公の私小説のように読んでて、その友人を脇役のように思っていた。
実際は、友人のほうが主役でその動機が主題だった。
これを読者に気づかせないようにするために、主人公が半生を語る私小説風に書いたんだと思う。

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