カテゴリー: 日本文化

  • 不愉快なことには理由がある

    現代日本の俗説へのツッコミや社会時評を羅列した、エッセイ集だった。

    不愉快なことには理由がある

    テーマ数は87もあるけど、1テーマ1000字程度ですぐに読める。
    進化論を社会批評に応用って触れ込みなので、著者自身が生物学者なのかと思ってたら関係なかった。
    単に進化論的な本をいろいろ読んで社会批評にあてはめているだけだった。
    だからほとんどのテーマには、参考文献が載ってる。
    そもそも進化論関係無いじゃんってテーマも多い。
    個人的に興味深いのは、ベーシックインカムを実行した国がすでにあったこと。
    1795年のイギリスでスピーナムランド法というベーシックインカム同様の法律が施行され、1834年には廃止となったらしい。
    働いても働かなくても金がもらえるので、働かないやつが続出したんだという。
    一番割を食ったのは、「物乞いのように生きるのは嫌だ」という自立心を持っていて真面目に働こうとしていた人達で、その人達は破産してしまったんだとか。
    当たり前のことだよねえ。同じような事は共産主義や社会主義ですでに起きてたみたいだけど。
    あと「日本人特殊論」を否定している。
    日本人論のレジュメを、日本人の分析とは知らせずにオーストラリア人の学生に読ませたところ、彼らは自分の国の分析だと思ったそうな。
    言うほどの特殊性は無いってことだろうけど、もしかしたらオーストラリア人と日本人との性格が意外に似ているだけかもね。
    生活保護の不正受給と漏給(本当に必要な人が受給できない)はトレードオフの関係があり、不正受給を減らしたいなら漏給が増え、漏給を減らしたいなら不正受給が増えると言ってるけど、現実にはそのようなトレードオフになっていないと思う。漏給で「おにぎり食べたい」と餓死する人がいるし、不正受給は相変わらずなのに、トレードオフじゃないじゃないの。餓死する人が出ているけど、不正受給は減ったのならわかるけど。
    ほか、ダイエットで成功するには「自己コントロール力」を消耗するので、自己コントロール力を使い果たしてしまうことで、ほかのことが達成できなくなるという話や、1枚2円のレジ袋を使わせないで買い物袋を持参させるには、得することよりも損することを訴えるという話が面白かった。そうすると、たった2円差なのに買い物袋を使う人が増えるそうな。
    それと気になったのは、公立学校でイジメが起きない理由に、イジメが起きると評判が悪くなって優秀な生徒が入ってこなくなるのと、問題のある生徒はすぐに退学にするからと言ってる。
    まあそうなんだろうけど、私立に隠蔽体質が無いことは無いと思うけどなあ……。
    1400円したけど、内容の軽さから言って新書程度の値段だったらいいかもね。

  • 小池一夫のキャラクター新論

    小池一夫がまどかマギカを褒めてるのを知って、新刊を読んでみた。
    従来のキャラクター論にインターネットメディアの項目を追加したらしい。
    なので、2章までが旧論と同一内容みたい。
    旧論を読んだことはないけど、全体としてはキャラクター論を知ってる人には物足りないみたい。
    新論にあたるインターネットメディア関連は第3章。
    要は、口コミでキャラを広める必要があるんで、無料で使わせることが重要。
    そして、キャラの見た目が大事。
    初音ミクは、膝下まであるツインテールのインパクトで広まったのだろうね。
    それから、キャラは類型に合わせる。
    文化的類型に合わせないと、見た目からキャラの性格を想像しにくい。
    4章はキャラクターシンキングの説明で、キャラクターの心理心情をFBIのプロファイリングのように想像してキャラを動かすと。
    5章はパラドクスがキャラを立てるという話。
    このへんも旧論と同じ内容らしい。
    結局、初音ミクが表紙なんでインターネットメディアを重点的に語ったような印象を受けるけど、1章しか割り当てていない。

  • ゲーテの警告

    ゲーテの著作から民主主義と大衆への批判を引用しつつ、先の選挙で民主党に投票しちゃった「B層」を批判っていう本。
    このB層は主婦&若者が中心で、年寄りや子どもを含み、小泉郵政改革に熱狂したのと同じ層らしい。
    B層はIQが低く、自分の頭で考えず、根拠もなく権威・マスコミ(A層)を信じる。
    文化人・知識人・タレント(A層)の発言を鵜呑みにして自分の意見とする。
    「子ども手当」の嘘を見抜けないで騙される。
    騙されてもそれを恥とも思わないで、被害者意識を持つだけ。
    B層の行動として挙げているのは、
    ・サンデルの「ハーバード白熱教室」はB層が買った。(ブランド商法に釣られる)
    ・ハリウッド映画が好き。
    ・X JAPAN、EXILE、サザンが好き。
    ・B級グルメが好き。
    ・大相撲八百長問題に怒る。
    このB層が現代の日本で大きな勢力となっている。
    じゃあどうすればいいの?っていう処方箋が、
    ・B層と距離を置くこと
    ・一流と三流を見ぬくこと
    ・古典を読んで「大人」になること
    だって。
    A層(B層向けに世論を操っている高IQ層)はB層に何かを売ることで金儲けしてるんで離れるわけない。
    C層(高IQ。構造改革に否定的。グローバリズムに警戒)、D層(負け組底辺層)は元々距離を置いている。(元からB層の一員になれない)
    当のB層は、B層批判本なんて読まんでしょ。
    この本の助言が有効なのは、B層出身ながらも、B層を「なんとなくおかしい」と感じている人くらいかと。
    でもそんな人は、B層内部の少数派だろうし‥。
    と言うか、距離を置いても、B層が大きな勢力となっている現実は変わらんのでは?
    今後もこのB層が社会を引っ掻き回し続けるんだろうな。

  • 空気の研究

    山本七平の超有名本。
    日本人は戦前から「空気」に支配されていた。
    開戦も戦艦大和の建造・出撃も空気が原因。
    日本人は、
    合理的な根拠 < 空気
    という価値観を無意識に持っている。
    空気とは、臨在感。
    臨在感とは、無いものをあると思い込むこと。
    例えば人骨に霊的なものを感じて気分が悪くなるみたいなこと。
    臨在感とはアニミズム的な認識方法。
    日本人は空気に絶対的な何かを感じて、言いなりになる。
    空気には「水を差す」ことが大事。
    水を差すとは、通常性・日常性・現実性を指摘すること。

    空気って裸の王様に似てる。
    ありもしないものを信じる=バカには見えない服を信じる
    それに水を差したのは「王様は裸だ」と言ってしまった子ども。
    空気って無責任でいられるから信じるのかと思ったけど、逆らしい。
    つまり、責任感が強いから空気に逆らえない。
    なので、その人が持っている「通常性」を指摘して水を差すしかない。

  • 言葉の常備薬

    これも呉智英で、言葉の煎じ薬と同主旨。
    言葉の誤用を軸に、
    ・亜インテリ批判
    ・語源俗解批判
    が主。
    あとは慣用句の由来。
    ・「お前の母ちゃんデベソ」の意味
    ・男女の仲の良い様子を見て「ごちそうさま」と言う意味
    ほか、八木重吉の詩「牝の美しさ」の誤植の話は笑った。

  • 言葉の煎じ薬

    封建主義者・呉智英の新刊。
    基本、言葉の誤用を指摘してるだけ。
    ただし本旨としては、
    無知な庶民を攻撃したつもりの「亜インテリ」が、自分をエラソーに見せる為に誤用してるのを指摘、
    ってのが狙いみたい。
    で、「薬」の意味は「庶民が「亜インテリ」に気づく」ってことらしい。
    でも、そういう意味の無いただの専門家の誤用や、ただの語源俗解批判も多々ある。